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MEDICAL TOPICS

No.4「がんゲノム医療~がん遺伝子パネル検査と患者申し出医療」

がんゲノム検査外来について(愛媛大学病院)

https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospital/gangenome/

最近、このよう言葉をよく聞かれると思います。がん遺伝子の検査が今年6月より保険対象となり、一部のがんゲノム拠点病院で対応ができるようになりました。

「がんゲノム医療~がん遺伝子パネル検査と患者申し出医療」

がんゲノム医療とはがんを遺伝子(ゲノム)レベルで解析し、それを治療や予防に利用するという最新の医療と思われます。人間のゲノム2万3000個を解明するというゲノムプロジェクトが全世界で行われたのが2003年です。遺伝子と関連した疾患を研究されて、今日に至っています。

ゲノム(遺伝子)というのは人の体は60兆個の細胞で構成されており、細胞の核の内部に存在するDNA(デオキシリボ核酸)は約30億個、そして遺伝子はその中の1.9%に相当するものです。遺伝子は核からメッセンジャーRNA(リボ核酸)に転写され、さらにアミノ酸に変換され、タンパク質になるものをいいます。タンパク質は身体を構成し、酵素や代謝を司る人間の基本構造となるものです。核には98%ものタンパク質合成に関わらないDNAが存在し、これらの大部分はマイクロRNA*として遺伝子のからタンパク質合成の過程を調整し、疾患発生により各種の合成、調節を行っているということが判明し、バイオマーカーとしても重要視されています。(*マイクロRNAについては前回トピックス参照)

遺伝子は生まれ持ったもので一生変わらないものです。しかし、様々な環境含めた要因で部分的に形態変化をきたした状態(エピゲノム変化)が存在します。と言っても、遺伝子の99%近くは人類共通で1%のDNAの塩基相異、突然変異やその人が多型性と言われの遺伝的に持つ個性や体質につながります。これを「塩基多型(SNPs)」と呼びます。

がん細胞では、遺伝子の一部に異常、もしくは塩基多型の影響、変化をきたし、異常増殖をきたして、がん細胞集団「がん」と呼ばれる状態になります。がんの遺伝子レベルでの異常を大変早いスピードで調べることができる「次世代DNAシークエンサー(NGS)」が開発され、以前なら豪邸が建つ金額で何か月もかかっていた検査が100万円を切る費用で、数日で検査できるようになりました。

異常が見つかれば、それをターゲット(目印)とした分子標的薬を探します。また、そのターゲットはがん免疫系の攻撃目標とする事も行われています。殺(全)細胞的な抗がん剤治療を回避できる、理想的な治療の実現が目前にきているとうことです。(ただし、抗がん剤の一部も、分子標的と同様な効果を示すものもあることは以前よりわかっています。)

しかし、まだ、問題があります。

1、すべてのがんで人類が知りえている遺伝子の部分的異常で説明できるか?

2、判明したがんの遺伝子レベルの異常に対応できる分子標的薬が100%存在するのか?

3、これらは希望する分子標的薬が実際、使用できるのか?

1)はまだまだ問題が残っています。2)市販される安全な投与可能なところまで至っていない(開発途中含む)ものも多数あります。3)保険適応というがん治療薬の観念ではこの遺伝子異常にこの薬という判断ではなく、一部のがんにのみ使用可能な状態です。

現実化した「がん遺伝子パネル検査」ですが、以下、愛媛大学病院のホームページ(2018年年4月に厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」指定)より抜粋してみます。

●遺伝子検査の結果、遺伝子に変異が見つからない場合や、変異が見つかっても治療に使用できる薬剤がない場合があります。これまでの臨床研究において遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは約10パーセントです。

●この検査の結果、患者さんのがんに有効な薬剤が見つかったとしても、あなたのがんに対して承認されていない薬剤の場合は、治療費は全額自己負担となります。

●この検査は、治療効果が期待できる治療薬の情報を提供しますが、その治療薬の治療効果を保証するものではありません。

保険適応外、治験対象外のがん遺伝子異常の治療薬としての分子標的薬を使いたいとき、2015年に設定された「患者申し出療養制度」という手続きもありますが、非常に煩雑で、ハードルが高く、実際に利用されたケースは10例にも満たないようです。現在ここも国主導で制度を改善されようとしています。

がん治療はがんゲノムが条件付きでも保険適応でできるところまで来ました。新しい治療の可能性が広がっています。最新が必ずしもベストではありませんが、可能性は必要です。

福岡メディカルクリニックでは、がんに対する遺伝子検査「塩基多型(SNPs)」(サインポスト)、がんの(超)早期発見を目的とした「マイクロRNA」(ミアテスト)、がん組織を調べる遺伝子パネル検査」(P5がん遺伝子パネル)、遺伝レベルの異常からがん免疫細胞治療(樹状細胞ワクチン)のターゲットを探すネオアンチゲン検査を行っています。従来の異常タンパク質を調べる検査「オンコアンチゲン検査(免疫組織化学検査)」も引き続き行っております。

身体に負担の少なく、目標を定めたがん治療「分子標的薬+α+がん免疫細胞治療」≒個別医療+精密医療の実現を目指して、普通に生活しながら「がん」を治す時代をお手伝いしたいと、切に願って止みません。がん予防やがん治療で色々お考えの方ご相談ください。

福岡メディカルクリニック  内藤恵子  2019.8.3

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