がん免疫細胞治療の概略
がん免疫細胞治療は、本来人間が持っているがんを異物として認識し、排除する機能を、惹起させ、その作用よりを効果的に発揮できるように行う免疫細胞の再生医療です。
多くのがん治療において免疫細胞(リンパ球、樹状細胞)の関与が重要であることは、学会報告・論文や臨床現場で報告されています。
がん治療の診断時から、治療中、再発予防などのいずれの時期においても、治療の適応があります。また、ご自身から、採血したリンパ球細胞を培養して治療に使用するので、拒絶反応など強い副反応もありません。
がん治療をすでに始めておられる方、治療をより効率的に結果を出すために、免疫細胞治療併用をお考えの方、がんの診断を受けて、今から治療される方、特に、手術予定の方は早めに手術前、治療開始前に、ご相談いただければ、今後の免疫細胞治療を含めた総合的な計画について、治療のご提案が可能です。
治療が始まった後は、定期的に治療効果を確認しながら、治療スケジュールを検討し、仕事や生活に負担が少なく、効果を維持するように計画をしていきます。
治療場所・方法
福岡メディカルクリニックへの、外来治療となります。医療機関入院中の方は、主治医とご相談の上、ご受診ください。
外来通院治療が可能な目安; パフォーマンスステータス(PS) 0~2
- 1食事をある程度経口摂取ができる
- 2身の回りのことが自分でできる
- 3自力歩行が可能である
- 4無理なく来院できる
治療の実際
免疫細胞の採取(採血)
単回採血

1回の治療ごとに前腕など末梢血管から採血いたします。採血後、単核球(リンパ球を含む)を分離します。なお血漿成分も培養に用います。
成分採血(アフェレーシス)
樹状細胞ワクチン療法では血液成分分離装置を用いて1クール(原則6-10回)の治療分の樹状細胞(単核球)成分を一度に分離採取することもあります(採取した血液成分は数ヶ月以上凍結保存可能です)。
培養免疫細胞の投与
主に点滴投与、皮下注射、稀に局所投与などがあります。
具体的例
| 活性化自己リンパ球療法 |
前腕の静脈へ100ml程度を約30分の点滴で行います。 |
| 樹状細胞ワクチン療法 |
皮内もしくは皮下に1ml注射します。 |
副作用について
患者ご自身の免疫細胞を用いるので、本質的に副作用の心配はありませんが、約2%の方に軽度の発熱、又はアレルギー反応を生じることがあります。
治療のスケジュールについて
基本的には1~2週間に1回のリンパ球投与、もしくは樹状細胞ワクチン皮下注射を行います。原則として各々の治療6回の投与を1コースとし、期間は通常約3ヶ月を要します。
初診外来、途中経過、6回目治療 1コース終了時に、画像診断・腫瘍マーカー、免疫能検査等で治療効果の評価を行います。この結果によって、その後の治療方針を検討します。
※実際の診療予定は、医師との話し合いで決定していきます。