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No.19 がん免疫薬の新規バイオマーカー発見、治療効果を予測

No.19 がん免疫薬の新規バイオマーカー発見、治療効果を予測

国立がん研、フローサイトメトリーによる新手法を開発

化学工業日報2020年9月2日 (水)配信

https://www.m3.com/clinical/news/817836

国立がん研究センターの研究チームは、免疫チェックポイント(CP)阻害剤の効果を予測する新たなバイオマーカー(指標)を発見した。日本ベクトン・ディッキンソン(BD)と共同開発した腫瘍に浸潤しているリンパ球(T細胞)を調べる手法を活用。エフェクターT細胞(CD8/キラーTリンパ球)と制御性T細胞にそれぞれ発現する「PD-1」の割合が指標になると突き止めた。(中略)がん細胞に発現する「PD-L1」が存在する。PD-L1に結合するT細胞側のPD-1は、生検検体から少量のリンパ球しか採取できないこともあり、有力視されてこなかった。

日本BDとフローサイトメトリーによる新手法を開発。必要な量のリンパ球を効率良く調整・採取できるようにした。「オプジーボ」など既存免疫CP阻害剤の治療を受けているがん患者を対象に、小野薬品工業とともに探索した。結果、CD8陽性のエフェクターT細胞にPD-1が多く発現している場合ほど治療効果が高いことが判明した。だが、詳しく調べたところ、制御性T細胞にPD-1が多く発現している場合は、治療効果が低いことが分かった。

そこで各種T細胞についてビッグデータを用いて解析。最終的に、PD-1が腫瘍中のCD8陽性T細胞に一定以上発現する一方、制御性T細胞では低発現している場合は免疫CP阻害剤の効果が高くなることを明らかにし、バイオマーカーとなる可能性を見いだした。実際に検証したところ、その見方と一致する結果も得た。

研究を主導した西川博嘉・腫瘍免疫研究分野長(名古屋大学教授)は、「免疫CP阻害剤の単剤が向く患者と併用が向く患者との区別、また併用の場合にどの薬剤と組み合わせるべきかといった予想ができるようにしたい」と展望を語った。今後、同センターで治験を進め、企業とともに実用化を目指す考えだ。(一部改変)

参考)免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1 阻害薬)の治療効果を 高精度に予測するバイオマーカーを同定 免疫療法でのプレシジョン・メディシンの実現を目指す。

1)https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0901/index.html

2)file:///C:/Users/Owner/Desktop/press_release.pdf

PD1(programmed cell death –1)、PD-1 の結合相手であるリガンドがPD-L1である。

T 細胞応答を抑制させる共同抑制因子として働く、免疫チェックポイント・タンパク質。

今回 詳細なデータ解析ががん治療効果の複雑さの一端を解明したことになります。

福岡メディカルクリニック(瀬田クリニックグループ)では、以前よりフローサイトメトリーを独自に行い、当グループの免疫細胞治療の効果として①CD8/キラーT細胞の増加②CD4/制御性T細胞の減少を確認発表しています。当院で検証した長期治療成功例においても、同様な傾向が確認できています。がんに対する免疫機構を効率的に高める方法が今後の課題となるでしょう。

2020年9月7日  福岡メディカルクリニック 内藤恵子

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