4価HPVワクチン、接種対象が男性にも拡大

2020/12/25　中西 亜美＝日経メディカル　NEWS

4価HPVワクチン、接種対象が男性にも拡大：日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

MSDは2020年12月25日、4価ヒトパピローマウイルス（HPV）ワクチンのガーダシル水性懸濁筋注シリンジ（組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン［酵母由来］）について、男性の尖圭コンジローマと男女における肛門癌およびその前駆病変に対する予防適応の追加を取得したと発表した。（中略）定期接種化はされていないため、男性への接種は自費で行う。肛門癌の罹患率は年々増加傾向にあり、わが国では2017年に1086人（男性540人、女性546人）が罹患した。肛門癌には扁平上皮癌や腺癌など複数の組織型があるが、扁平上皮癌の約80～90％はHPV感染が関連していると言われており、子宮頸癌と同様にHPVの持続感染、前駆病変の状態を経て発症する。ガーダシルはHPV6、11、16、18型を対象としたワクチンで、わが国では、これまで9歳以上の女性のみが対象となっていた。このたび9歳以上の男性への接種対象拡大ならびに肛門癌とその前駆病変の予防に対する適応が追加されたことにより、HPV6、11、16、18型の感染に起因する肛門癌や男性における尖圭コンジローマの予防が期待できる。
なお、16～26歳の男性1124例を対象とした国内臨床試験では、HPV6、11、16、18型に関連した肛門性器部の持続感染を85.9％予防し、肛門内の持続感染を100％予防したことが確認されている。

2剤目のHPVワクチン「ガーダシル」登場へ

2011/08/18　日経メディカル　北村 正樹＝慈恵医大病院薬剤部

2剤目のHPVワクチン「ガーダシル」登場へ：日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

2011年7月1日、酵母由来の組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン（商品名ガーダシル水性懸濁筋注、同水性懸濁筋注シリンジ）が製造承認を取得した。ヒトパピローマウイルス（HPV）6型、11型、16型、18型の感染に起因する子宮頸癌や尖圭コンジローマなどを予防するワクチンである。9歳以上の女性が適応で、合計3回（2回目は初回接種の2カ月後、3回目は6カ月後）筋肉内注射する。子宮頸癌は、世界的に見ると、女性の癌としては乳癌に次いで2番目に発症率が高く、毎年50万人が新たに罹患し、毎年27万人が死亡しているとされる。日本でも、毎年1万2000人が罹患し、約3500人が死亡しているのが現状である。（中略）これら発癌性HPVは、8割の女性が一生の間に一度は感染するありふれたウイルスであるが、ほとんどの場合は感染しても自然に排除され、子宮頸癌に罹患するのは感染した女性の1％未満と考えられている。一方で発癌性HPVは、自然感染しても抗体価が十分に上昇せず、同じ型のウイルスに何度も感染する可能性がある。そうしたことから、発癌性HPVに対する高い抗体価を長期間維持する方法として、ワクチンの開発が望まれていた。

今回、承認されたガーダシルは、2009年12月に承認されたサーバリックスに次いで2剤目となるHPVワクチンである。（中略）子宮頚癌は、ワクチン接種と定期的な子宮頸癌検診により、ほぼ100％が予防可能と考えられており、今後、HPVワクチンを接種する女性が増えるものと考えられる。なお、国内臨床試験では、注射部位での副反応（接種後5日間）として、疼痛（82.7％）、紅斑（32.0％）、腫脹（28.3％）などが報告されており、全身性での副反応（接種後15日間）として、発熱（5.7％）、頭痛（3.7％）などが報告されているので注意したい。（以上）

ワクチンにはコロナウイルス感染予防に対するワクチン、がん免疫細胞の一種である樹状細胞を使ったがん治療ワクチンなどがあります。ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンは子宮頸がん予防ワクチンとして当初認可された「がん（予防）ワクチン」です。また、ウイルス感染によって発生したがん細胞はウイルス蛋白を目標に免疫反応を起こすことができます。理論的には非常に良いがん治療と考えます。実際、このワクチンをがん治療に使用して有効であった報告があります。

がん細胞やウイルスなど異常なものに対して免疫反応を起こさせ、抗体やキラーリンパ球細胞を作らせるには攻撃対象を明確にすることが肝心です。特にがん細胞の目印は患者さん一人ずつ異なります。がん治療・予防には個別に戦略が重要です。

2020年12月27日　　福岡メディカルクリニック　内藤　恵子