メディカルトピックス
MEDICAL TOPICS
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ネオアンチゲンとは
ネオアンチゲン(neoantigen:neo=新しい、antigen=抗原)とは、がん細胞のみが持ち、かつ、患者さんごとに異なる「がん固有の抗原(目印)」です。
がん細胞は、通常の細胞が分裂する際に、細胞内の遺伝子がコピーミスを起こすことによって発生します。よって、がん細胞は“遺伝子の変異(キズ)“をたくさん持っています。
この遺伝子のキズにより、新たにがんの目印(ネオアンチゲン)ががん細胞の表面に出現します。遺伝子にキズが入る部位は何億ヶ所も存在するためキズの部位は患者さんごとにまったく違います。そのため、ネオアンチゲンは患者さん一人ひとりで異なるという特徴があります。
ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンとは
ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンとは、人工的に作製したネオアンチゲンを樹状細胞にがんの目印として取り込ませる治療法です。ネオアンチゲンの作製には、患者さんのがん組織を用いてすべてのゲノムの解析による遺伝子検査を行い、発生している遺伝子の変異を特定する必要があります。
>>樹状細胞ワクチンの詳細についてはこちら
がん組織内で新たに発現するネオアンチゲンは強力な免疫反応を引き起こすことが知られており、このネオアンチゲンを利用する樹状細胞ワクチンは高い効果が期待されます。また、遺伝子解析により患者さんお一人おひとりの最適なネオアンチゲンを作製し使用するため、ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンは遺伝子レベルで個別化された究極のオーダーメイドワクチンと言えます。
従来の樹状細胞ワクチンとの違い
従来の樹状細胞ワクチンに使用しているがん抗原は、多くの患者さんに共通して発現する「共通抗原」といわれます。瀬田クリニックではさまざまな種類の共通抗原を準備していますが、がんの種類や進行度などによって、これら共通抗原は発現する方としない方がいることが分かっています。(中略)
一方、ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンは、個々の患者さんのがん細胞の遺伝子異常を解析し、患者さんのみにしか存在しないネオアンチゲンを見つけ出してワクチンに使用するため、がんの種類や進行度などにかかわらずより多くの(ほぼすべての)患者さんに適応いたします。(中略)ネオアンチゲンはがん細胞のみに発現するため、ネオアンチゲンを使った樹状細胞ワクチンでは、正常細胞は免疫細胞による攻撃を受けず、より副作用が少なく安全に治療できると考えられています。また、免疫寛容による抑制もないため、より強力な免疫反応を引き起こすことが報告されています。(抜粋、以上)
今回は福岡メディカルクリニックで実施しているネオアンチゲン樹状細胞ワクチンについて、瀬田クリニック東京のホームページを抜粋して紹介いたしました。当院では2019年よりネオアンチゲン樹状細胞ワクチン治療を開始し、治療効果と安全性を確認しております。がんは最初、ドライバー遺伝子の変異でがん化がスタートし、その後時間の経過とともに、がんの遺伝子(中立遺伝子)異常が追加増幅されていきます。当院の事例でも遺伝子異常は数個の場合から100個近く認める場合を経験しております。
検出されたネオアンチゲンは抗原としての有効性や重要度を膨大な遺伝子、タンパク質のデータにより厳密に選別し治療に用います。ネオアンチゲンの検索方法も、これらのデータも近年になって技術的に利用可能となったものです。
がん治療方法についてご検討の方は、併用治療としても、一度お問い合わせいただきたいと思います。
2021年3月21日 福岡メディカルクリニック 内藤恵子