福岡メディカルクリニック

MENU
資料請求・問い合わせ
New お知らせ
New 説明会
New メディカルトピックス

メディカルトピックス

MEDICAL TOPICS

No.29  がん患者が新型コロナワクチン接種を受けて本当に大丈夫なのか?

No.29  がん患者が新型コロナワクチン接種を受けて本当に大丈夫なのか?

yahoo ニュース 2021年4月30日 大津秀一 | 緩和ケア医師

https://news.yahoo.co.jp/byline/otsushuichi/20210430-00235416/

がん患者と新型コロナワクチン

新型コロナワクチンの接種が進んでいます。(中略)ワクチン接種の優先順位が上となる「基礎疾患」の範囲については厚生労働省により次のように示されています。高齢者以外で基礎疾患を有する方について

がんを患っている方は7の「免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)」に該当します。(中略)

現在日本で接種が進められているファイザー製のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンとは異なるのですが、アストラゼネカ製のワクチン(アデノウイルスベクターワクチン)で、ワクチン誘発性免疫性血小板減少症という稀な病態を起こすことが今月になって相次いで報告されました。しかし、これらは(中略)一般的な血栓を起こしやすいという状態から発生するというものとは異なります。一方で、新型コロナウイルス感染症自体も血栓症を起こしやすい疾患(入院患者では2%)であり、それらを総合的に勘案すると、一般的にはワクチン接種による利益が上回るものと考えられます。

さて今回、4月27日に有名医学雑誌Lancet Oncologyに、がんの患者さんのワクチン接種に関して新たな研究が掲載されました。Safety and immunogenicity of one versus two doses of the COVID-19 vaccine BNT162b2 for patients with cancer: interim analysis of a prospective observational study(中略)

がん患者にワクチン接種をすると抗体は?

結論から言えば、がんを罹患していても、ワクチンを接種することで免疫がつくことがわかりました。(中略)抗体(抗S IgG)が陽性だったのは、1回目接種の21日後、健康な人では94%であったのに対して、固形がん(肺がんや乳がんなどの血液がんではないがん)では38%、血液がんに至っては18%であったのです。しかし幸いにして、2回目接種を行い14日後になると、健康な人100%、固形がん患者95%、血液がん患者60%と、固形がんの患者では陽性率が健康な人と遜色がない程度まで上昇しています。

以上より、がんの患者さんにおいては、規定通りの間隔で2回接種することが必要だと示されたと捉えられます。

また、ワクチンの効果は抗体ばかりではなく、細胞性免疫(T細胞が関与)を誘導することにもあります。T細胞応答に関しては初回接種後21日で、健康な人で82%、固形がん患者では71%、血液がんでは50%という結果となっています。

がん患者のワクチン接種、安全性は?

1回目接種においてがんの患者さんで54%、健康な人で38%、2回目接種ではがんの患者さん71%、健康な人では31%でした。(中略)

がん患者で一番多かった局所反応は痛み、全身反応は順に倦怠感、頭痛(1回目・2回目とも)ですが、頻度も強さも健康な人より少ない傾向がありました。(中略)

以上より、安全に接種できることがわかったと言えそうです。

まとめ

(中略)結果は、少なくとも効果が全然ないとか、がんを患っているからより副反応が強く出るのではないか、体調を壊してしまうのではないか、副反応が強くて衰弱するのではないか、そのような不安や心配に関しては大丈夫そうだと示したものであったと考えられます。すでに、がんを患っていると新型コロナの見通しが悪くなる可能性について指摘されており、罹患しないに越したことはないでしょう。

ご自分ががんを患っていたり、あるいはご家族にがんの患者さんがいらっしゃったりするような場合は、これらの情報を参考によく担当医と接種について相談すると良いでしょう。(以上)

 

福岡メディカルクリニックでも、がん患者の新型コロナワクチン接種についてのお問合せが増えてきています。新型コロナウイルスワクチン接種はウイルスに対する免疫を獲得する目的に行います。この記事では、ワクチンの効果、副作用いずれにおいても、接種を行うことのメリット、ベネフィットを示唆しています。また、治療中の場合、いつ打つべきかという質問もありますが、がん患者におけるワクチン接種時期に関しては、国家機関、国際機関から、推奨指示がされています。実際の接種にあたっては主治医へ確認が必要と考えます。

2021年5月16日       福岡メディカルクリニック  内藤恵子

最近の投稿