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No.31 膵がんゲノム診療の現状と血漿検査への期待:がんナビ

No.31 膵がんゲノム診療の現状と血漿検査への期待:がんナビ

コンパニオン診断、遺伝子パネル検査、そして次は全ゲノム時代に

2021/03/09 第51回日本膵臓学会大会 八倉巻尚子=医学ライター

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/202103/569413.html

染色体のDNAに含まれる遺伝情報に基づいたゲノム診療が、膵がんの治療にも導入されている。腫瘍組織を用いて、複数の遺伝子を同時に解析できる遺伝子パネル検査が日常診療で行われるようになっているが、簡易で低侵襲性の血漿を用いた検査(リキッドバイオプシー)への期待も高まっている。2021年1月近畿大学医学部ゲノム生物学教室の西尾和人氏による教育講演「膵疾患とゲノム医療」の内容を紹介する。ゲノムの解析で治療薬を選択するゲノムを解析するには、がんの組織からDNAを抽出し、次世代シークエンサー(NGS)などでDNAを解析して塩基配列を読み取る。がん細胞の塩基配列から、がんの 原因となっている可能性のある遺伝子を選定し、治療につながる遺伝子異常が見つかった場合は、その遺伝子異常にあった薬剤を選択する。治療薬とセットになっている「コンパニオン診断薬」、次に数百の遺伝子を同時に解析するNGSを用いた「遺伝子パネル検査」、そして全てのゲノムを解析する「全ゲノムシークエンス」に広げていくという方策である。2019年に遺伝子パネル検査が、保険収載下で実施できるようになり、遺伝子パネル検査のうち、包括的に遺伝子異常を調べる「がんゲノムプロファイリング検査」(CGP検査)として、「OncoGuide NCCオンコパネルシステム」「FoundationOne CDx がんゲノムプ ロファイル」が承認されている。

膵がんで認められる遺伝子の変化は?

膵がんでも複数の遺伝子の異常が認められる。腫瘍組織から、“Big4”と呼ばれる KRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4のほか、HER2など、がんの発症に関わり治療につながるアクショナブル(actionable)遺伝子異常、創薬が可能なドラッガブル(druggable)遺伝子異常も検出されている。2019年にNTRK融合遺伝子の認められる固形がんに対して、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブが保険承認された。膵がんにおけるNTRK融合遺伝子の発現頻度は0.4%程 度といわれている。(中略)膵がんではBRCA遺伝子変異もおよそ5%に検出される。2020年12月にPARP阻害薬のオラパリブがBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんに対し、プラチナ系薬剤を含む化学療法後の維持療法として承認されている。

遺伝子パネル検査で得られる情報は遺伝子異常だけではない。

FoundationOne CDxでは、各種の遺伝子異常だけでなく、マイクロサテライト(同じ塩基配列の繰り返し)領域の反復異常であるマイクロサテライト不安定性(MSI)のデータも得られる。高頻度のMSIでは、「免疫系に認識されるネオアンチゲンの発現が高い」と考えられている。また高頻度MSIに対して、がん免疫療法の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の臨床的有用性が報告されている。さらに腫瘍の遺伝子変異量(TMB)が高いかどうかもスコアとして算出される。TMBが高い場合もICIの効果が期待される。昨年、米国ではTMBが高い患者に対して臓器横断的にICIのペムブロリズマブが承認された。(中略)

リキッドバイオプシーは、血中循環腫瘍 細胞(CTC)や血中循環DNA(cfDNA)、さらにcfDNAのうち腫瘍由来の血中循環腫瘍DNA(ctDNA)、エクソソーム中のマイクロRNAなどを検出して、遺伝子変化を調べる。(中略)また、特に外科領域で、術後の再発予測にctDNAが用いられないかが注目されている。微小残存病変(Minimal Residual Disease:MRD)のモニタリングとして、術後に血液を採取して、その中にctDNAの変異があるかないかを見て、再発のリスクを評価する。(中略)進行膵管腺がん41人で、フルオロウラシル(5-FU)ベースの化学療法を1サイクル行った後にCTC陽性率は80.5%から29.3%に低下したという報告がある。(中略)がんの発生は、たくさんの遺伝子の変化が積み重なって起こる多段階発がんが大部分 であり、それには化学療法の効果が期待される。多段階発がんの典型例が膵がんであると説明した。「実際に積極的に化学療法を行って、非常に良好な経過が得られる人をよく見ています」と西尾氏は話した。(以上)

今回は詳細に書かれた記事でしたので、詳しくは原文をご確認いただきたいと思います。膵癌の治療については次の報告もあります。「膵腺癌の術後補助療法でのnab-パクリタキセルとゲムシタビン併用療法の5年OS率は38%【WCGC 2021】2021/7/1」https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202107/570969.html

2014年から行われている化学療法の最新報告で良い成績であり、ゲノム医療、免疫治療との併用において期待できます。福岡メディカルクリニックでは、膵癌の早期発見を目的として高性能超音波検査を行い、また、リキッドバイオプシー、マイクロRNAによる超早期診断を行っています。これらに関心のある方は是非ご相談ください。

 

2021年7月4日  福岡メディカルクリニック  内藤恵子

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