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MEDICAL TOPICS
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オンコタイプDx 乳がん再発スコアプログラムは薬事承認、早ければ12月に保険適応
2021/08/10 日経メディカルOncologyニュース 横山勇生:編集委員
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/news/202108/571419.html
エグザクトサイエンスは、早期乳癌の検体を用いて21種類の遺伝子を調べ再発のリスクを評価するオンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムについて、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性、リンパ節転移陰性およびリンパ節転移が3個までの早期浸潤性乳癌患者における遠隔再発リスクの提示、化学療法の要否の決定の補助用のプログラムとして、厚生労働省から承認を取得したと発表した。
日本で承認を取得したオンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR法)を用いたオンコタイプDX乳がん再発スコア検査と日本向けに開発したソフトウェアを組み合わせた製品。腫瘍組織から抽出した16個の癌関連遺伝子と5個の参照遺伝子の発現量を測定し、21遺伝子の発現レベルに基づいて、個々の検体ごとに再発スコアを算出する。
乳癌診療ガイドラインにおいて、「CQ29. ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対して、多遺伝子アッセイの結果によって、術後化学療法を省略することは推奨されるか?」で「ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌で、リンパ節転移陰性であれば、OncotypeDXのRSが25以下の場合には術後化学療法を省略することは強く勧められる」とされている。
エグザクトサイエンス社、オンコタイプDX 乳がん再発スコア® プログラムの薬事承認を取得(プレスリリース抜粋)
https://www.kyodo.co.jp/pr/2021-08-10_3628183/
早期乳がんとOncotype DX Breast Recurrence Score 検査について
乳がんは日本の女性に最も多いがんであり、2020年には日本で新たに9万人以上が乳がんと診断されています。 化学療法は日常的に行われていますが、実際に化学療法の恩恵を受けられるのは、早期の患者さんの中でも少数であることが研究で明らかになっています。
Oncotype DX Breast Recurrence Score検査は、個々の乳がんの生物学的特性に関する情報を提供することで、個別の臨床判断を容易にすることを目的としており、医療システムに経済的利益をもたらす可能性があります。この検査は、2004 年に初めて提供され、世界中で 100 万人以上の患者さんがこの検査を受けています。この検査は日本乳癌学会をはじめ、欧州臨床腫瘍学会、ザンクトガレン国際乳癌カンファレンス、米国臨床腫瘍学会、米国NCCN® などの乳がん治療の主要なガイドラインに採用されています。さらに英国の国立医療技術評価機構やドイツの医療の質と効率に関する研究所(IQWiG)などの重要な医療技術評価機関も、OncotypeDX Breast Recurrence Score検査のユニークな価値を認めています。
以上、日本においても遺伝子検査によるゲノム治療の選択枝が増えてきており、副作用の軽減や個別性の高い治療が行われるようになってきました。まだ、増加の一途だと考えます。今回の検査は早期乳癌において,何処まで治療を行うのかを遺伝子検査でリスクをスコア化して検討するものです。100%の回答が出るものではありませんが、21種類の遺伝子を調べるというのは今までになかったことです。当院でも早期に発見治療された患者様が多く見えられます。これらの治療に役立ってほしいと思います。また、高性能な乳腺エコー検査による早期発見と合わせ、負担の少ない治療ができるようになることを願います。
2021年8月22日 福岡メディカルクリニック 内藤恵子