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No.43 治せる膵がんを捕まえろ!~診療科を越えて包囲網を~

治せる膵がんを捕まえろ!~診療科を越えて包囲網を~

(週刊日経メディカルPDF版:2022年 7月15日号(No.062)抜粋)

https://medical.nikkeibp.co.jp/all/weekly/images/20220715_weekly.pdf

5年生存率が12.5%と予後の悪い癌の代表格である膵癌。(中略)現時点で膵癌は有効な治療薬が限られている。次々と新たな分子標的治療薬が登場し、進行癌であっても治療成績が改善してきた肺癌や大腸癌、乳癌などとは異なり、新薬開発のペースは緩慢だ。各種レジメンが登場しているものの、予後を大きく改善するには至っていない。そのため、唯一の根治手段は手術である。基本的に手術は、腫瘍が膵臓内に限局していないと行えない。しかし、膵癌はあるレベルに進行するまで目立った症状が現れないのが早期発見を難しくしている。生存率改善のためには、いかに無症状の時点で膵癌を早期発見するかという観点が重要になる。早期膵癌患者は糖尿病医の前にいる糸口の一つが、2型糖尿病からのアプローチだ。膵癌が直接、あるいは間接的に膵組織を破壊したり、膵癌が産生するエクソソームが膵臓β細胞のアポトーシスやインスリン抵抗性を誘導したりすることで、インスリン分泌に悪影響を及ぼすことが分かっている。この現象は膵癌発生の早い段階から認められるため、「糖尿病の新規発症時や、薬剤の調整を考慮するほど増悪したときは、膵癌の存在を疑ってほしい」と近畿大学医学部外科学教室肝胆膵外科主任教授の竹山宜典氏は話す。(中略)糖尿病をきっかけに発見した膵癌は、予後が比較的良いことが示されている。東北大学大学院消化 器病態学分野教授の正宗淳氏のグループは、東北大学病院で診断した膵癌489人について、診断契機と治療後経過との関連を解析。黄疸、腹痛などの症状を契機に診断した318人は手術可能例が27%だったが、糖尿病を契機に診断した膵癌53人は、60%が手術可能だった。生存期間の中央値は症状契機で発見した膵癌が343日なのに対し、糖尿病契機は771日と2倍以上長く、検診や他疾患の検査中に偶然発見した膵癌(中央値869日)と同等だった。

かかりつけ医の協力体制モデルとなる「尾道方式」

膵癌の危険因子がある人をスクリーニングし、専門医による精査につなげるには、かかりつけ医の協力が欠かせない。この先行モデルが、広島県の「尾道方式」(尾道市医師会膵 癌早期診断プロジェクト)だ。尾道市医師会に所属する開業医など地域 連携機関が、糖尿病の発症・増悪、喫煙、高度肥満といった危険因子を複数有する患者に積極的に腹部超音波検査を行い、膵管拡張や膵嚢胞を拾い上げる。異常所見や描出不良があった場合には、患者を中核病院に紹介し、超音波内視鏡(EUS)、MR胆管膵管造影(MRCP)、CT検査などを行う。(中略)尾道方式では、2007年1月から2020年6月の間に1万8507例の膵癌疑いの受診者から610例の膵癌が発見された。切除率は290例(48%)で、ステージ0、Iがそれぞれ32例ずつと多数の早期診断例を得られている。(中略)

他疾患の検査ついでに膵癌の初期病変を探すAI

別角度からのアプローチが、無症状のうちに偶然発見される膵癌を増やす取り組みだ。(中略)「膵癌は進行が早いため、早期発見しても救命にはつながらない」という考えを持つ医師は多い。だが、2010 年の谷内田真一氏(大阪大学大学院 医学研究科ゲノム生物学講座がんゲノム情報学教授)の研究によれば、膵癌の成長速度は他の癌より早いわけではなく、膵癌細胞の発生から膵癌の初期段階まで11.7年、さらにそこから転移能を獲得するまで6.8年かかる。つ まり、膵癌の初期段階から手術不可能になるまでに数年の期間があるということ。(AIなどで)早期発見のすべが確立できれば、生存率は他の癌に遜色ない程度まで向上し得る。予後改善への取り組みは広がりつつある。(江本 哲朗)

参考)病診連携で膵がん早期発見の道を開いた尾道方式 2022/7/13

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/202207/575842.html

以上、膵臓がんの早期発見についての医療者側の記事より概略させていただきました。医師向けの記事で一寸難しかったと思いますが、福岡メディカルクリニックでは、膵癌の治療、再発治療を受けられる方が多く、完治例も経験しております。手術はできなかったが、放射線治療は可能という限局的な膵がんにおいても、再発予防と合わせ良好な予後を経験しています。しかし、いずれにせよ、早期発見と治療が必要です。定期健診だけでなく、糖尿病予備軍、一歩手前と言われたら、一度は膵臓の精密検査を受けてみてほしいと思います。

2022年7月18日     福岡メディカルクリニック  内藤恵子

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