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No.57 頭頸部がんに光免疫療法 保険適用で100余施設 胃や食道でも治験

No.57頭頸部がんに光免疫療法 保険適用で100余施設 胃や食道でも治験

m3 医療ニュース 「医療新世紀」 2023年8月15日 (火)配信共同通信社

https://www.m3.com/news/general/1158763

がん細胞にくっつく抗体を利用して、光を当ててがん細胞だけを殺す「光免疫療法」が2020年に世界に先駆けて日本で頭頸部(けいぶ)がんを対象に薬事承認された。今年7月末時点、大学病院など42都道府県の100余りの医療機関で保険診療が受けられる。米国立衛生研究所(NIH)の日本人研究者が開発、12年にオバマ米大統領が一般教書演説で紹介した革新的ながん治療法だ。胃や食道などほかのがんでの治験も進められている。

▽瞬時に破裂

開発したNIHの小林久隆主任研究員によると、がん細胞の表面に多く現れている抗原「上皮成長因子受容体(EGFR)」にくっつく抗体と、近赤外線に反応する光感受性物質を組み合わせた薬剤を点滴で患者に投与する。薬剤はがん細胞だけに結合し、翌日に近赤外線を照射すると、光のエネルギーで抗体の形が変わり、細胞膜を傷つけ、がん細胞が瞬時に破裂する。

ここまでだと、がん細胞だけを選択的に殺す分子標的薬と似ているが、異なるのはその殺し方だ。細胞内への信号や免疫を介した生物学的な殺し方と違ってこの療法は物理的に細胞膜を破壊する。細胞内のがん抗原が放出され、それを見つけた付近の免疫細胞が活性化し、残ったがん細胞を攻撃することが動物実験で確かめられている。「がんを直接殺しながら、がんに対する免疫を増強する点が、ほかのがん治療と異なる」と小林さんは強調する。

頭頸部がんはEGFRが特に多く現れている上、光を照射しやすい場所でもあり、まずはこの部位で治療が始まった。だが、がんの種類に応じた抗体を使えば、幅広いがんに対応できるはずだ。小林さんは「血液がんと小児がんを除いたほとんどのがんに使えると考えている」と話す。

▽再増殖

「光を照射すると見る見るうちにがん組織が黒くなって死んでいく。ほかの治療法ではないことで、びっくりした」と話すのは、京都府立医大耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の平野滋(ひらの・しげる)教授。同医大病院ではこれまで8人の患者に光免疫療法を施し、2人でがんが完全に消えた。ほかの6人ではいったんは縮小したが再び増殖してきて、免疫増強の効果があるかどうかはまだよく分からないという。

「ただ、現在の治療対象は既に抗がん剤や放射線治療などを尽くして体全体が弱っている状態の患者。初期の段階で使えば、免疫効果が確認されるかもしれない」と平野さんは期待を込める。

小林さんは、がんを標的にした光免疫療法に併用して、がんの周辺にいて免疫を抑制している細胞をこの手法で殺し、免疫を増強する新たな治療戦略を描いている。

▽海外でも注目 平野さんによると、光免疫療法はがん殺傷効果が強力な一方、がんが動脈に食い込んでいたり、皮膚を貫いていたりすると、がんが除去されることで重大な出血が起きる可能性がある。また、全身麻酔が必要で、実施施設は大学病院や地域のがんセンターなどに限定されている。日本頭頸部外科学会が研修を行い認定した医師が実施するほか、各施設で最初の3例については症例を事前に審査する仕組みを作り、慎重な対応をしている。

光免疫療法は薬剤と光照射機器を楽天メディカルが提供し、現在は手術で切除できないか、再発した頭頸部がんだけが保険適用だ。治療が受けられる病院は同社のホームページから閲覧できる。

適用拡大に向け、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で胃がんや食道がんで治験が行われた。米国や台湾、インドでは頭頸部がんの治験が進められるなど、海外でも動向が注目されている。(共同=戸部大)

以上、光免疫療法非常に期待できる治療として開発をされています。「細胞内のがん抗原が放出され、それを見つけた付近の免疫細胞が活性化し、残ったがん細胞を攻撃することが動物実験で確かめられている。」とは、当院で行っているがん免疫サイクルの強化を行う免疫細胞療法のことでです。光免疫療法でなくとも、効率よくこのがん抗原を放出できる治療であれば免疫細胞療法とともに治療効果が向上します。多くの標準療法との免疫細胞療法の併用により治療効果は上昇しますので、がん治療を行う段階で是非併用を検討していただきたいと思います。

2023年8月20日     福岡メディカルクリニック  内藤恵子

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