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No.65 がん「オリゴ転移」の定位放射線治療 公的医療保険の範囲広がる…

No.65  がん「オリゴ転移」の定位放射線治療 公的医療保険の範囲広がる…免疫チェックポイント阻害薬の効果高められる可能性も

6/6(木) 17:10配信 読売新聞社 yomiドクター より転載

https://news.yahoo.co.jp/articles/c5fe1e799ebae8c9bfdd741c5198ee25db0799b4

がんの転移が少数に限られるケースがあります。「オリゴ転移」と呼ばれ、集中的に照射する「定位放射線治療」が有効とされています。2020年4月、転移した部位を問わず、公的医療保険が認められたことで広がりつつあります。薬物療法に上乗せすることで生存期間が長くなるとする研究報告も出ています。(米山粛彦)

保険適用が拡大

がんが見つかった場合、画像検査で転移を調べます。オリゴ転移かどうかは、全身に転移が何個あるかで判断します。例えば肺がんでは、肺に数か所だけの場合も、肺や脳、肝臓、骨盤に1か所ずつの場合もオリゴ転移となります。従来、脳は個数に限らず、保険が認められていました。このほか「体幹部定位放射線治療(SBRT)」は、肺と肝臓のみ、各3個まで適用されていましたが、2020年から、5個以内ならば場所を問わなくなりました。

この治療は、がんに対して多方向から集中的に放射線をあてるため、周りの正常な臓器にあたる放射線の量を抑えられます。1回あたり30分程度で、数回に分けて実施します。ただ、画像で捉えられなかった小さながんが体内に潜んでいる可能性があります。このため、全身のがんを治療できる薬物療法も併せることがよくあります。米国などの研究チームが計148人の肺がん患者を対象に効果を調べたところ、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」だけで治療した76人では、全体の生存割合が50%となる期間が9か月弱でしたが、SBRTを併用した72人では19か月強と長くなりました。

薬と併用効果も

慶応大放射線治療科教授で、大船中央病院(神奈川県)特別顧問の武田篤也さんは「SBRTは、照射した場所のがんを十分抑え込むだけでなく、がんに対する免疫の働きを活発にさせ、治療薬の効果も高められる可能性がある」と指摘します。東京都内の男性(71)は2012年、喉の奥「下咽頭」のがんと診断され治療を受けました。翌年、肺に転移が見つかりました。抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬などを使っても、がんは大きくなっていきました。2016年、セカンドオピニオンを求めた医師から情報を得て、大船中央病院を受診。SBRTを受けました。肺や周囲のリンパ節にあった4個の転移を治療し、経過観察を続けています。男性は「治療は毎回、痛みもなく普段通りに生活できた。今は再発や転移がなく、穏やかな毎日が続いています」と話します。SBRTでの治療が適さないケースもあります。まず、胃や気管、食道などに近い転移は、慎重に判断します。強い放射線があたった場合、穴が開く「穿孔(せんこう)」の恐れがあるからです。がんによる痛みやまひが強い場合は、つらい症状を緩和する治療が優先されるため、SBRTを見合わせることがあります。オリゴ転移の放射線治療を巡っては、何個までが対象になるかなど国際的な議論が続いています。近畿大放射線腫瘍学部門教授の松尾幸憲さんは「主治医や放射線治療医から効果と副作用をよく聞き、治療法を選んでほしい」と助言します。(以上)

如何でしたか。放射線治療によりがんを破壊する事で、がんに対する免疫細胞の機能が増幅し、多部位のがん病巣に良い影響を起こすことは「アブスコパル効果」として以前より認められています。むやみな放射線治療は危険を伴いますが、画像で確認できるオリゴ転移に対して放射線治療を行い、画像で確認できないミクロ単位のがん細胞と残りの病変部については免疫細胞により攻撃を行うという治療は期待できそうです。自身の免疫細胞を増幅し、バランスを整え、是非、治療に備えたいものです。

2024年6月7日  福岡メディカルクリニック  内藤 恵子

 

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