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MEDICAL TOPICS

No.67 がん領域にiPS細胞、実用化の期待高まる

がん領域にiPS細胞、実用化の期待高まる
8/26(月)  Yahoo/ニュースイッチ 日刊工業新聞より改変転載
https://news.yahoo.co.jp/articles/358a30930b7f98b20b4b72565b86f09a525cb5ac

米アイ・ピースが臨床で初投与

iPS細胞(人工多能性幹細胞)*由来の細胞を使ったがん免疫療法の開発が進む。2023年、卵巣がんの患者にiPS細胞由来の免疫細胞を投与する医師主導の臨床試験が中国で実施。同試験には米アイ・ピース(カリフォルニア州、田辺剛士CEO)がiPS細胞を提供し、同社製としては初めてヒトに投与された。iPS細胞は再生医療領域で開発が進んでいたが、がん領域での実用化の期待も高まる。(安川結野)

中国での臨床試験は、アイ・ピースが他家iPS細胞を提供し、豪州のバイオ企業アイカムノ・バイオセラピューティクスが免疫細胞の一つナチュラルキラー(NK)細胞に分化させる体制で行った。進行した卵巣がん患者一人に投与した結果、治療の安全性の確認に加えて、腹水の減少や腫瘍マーカーの低下、生存期間の延長が見られたという。こうした結果を受けて、アイ・ピースとアイカムノは投与する患者を12人に広げ、企業治験を開始する。田辺CEOは「2―3年内に、日本と米国でも臨床試験に進みたい」と強調する。

患者から免疫細胞を採取し、がん細胞を攻撃するよう(遺伝子改変)して移植する治療は、血液がんですでに(一部保険適応にて)実用化されている。しかし販売されている国での治療費は数千万円程度と高額だ。がん種は異なるが、アイカムノのイーサン・リュー会長は「iPS細胞を使うことで既存の治療法よりも治療費を低く抑えられる」と説明する。また幅広いがんに応用できる可能性もあるという。

世界保健機関(WHO)のがん専門機関である国際がん研究機関(IARC)によると、22年に新たにがんと診断された患者は2000万人と推定される。幅広いモダリティー(治療手段)で治療薬の開発も活発だ。機能を高めた免疫細胞を使ったがん免疫療法は新しいモダリティーとして注目されるものの、実用化の例は少なく、開発はこれから活発化していく見込みだ。

アイ・ピースの強みは米国食品医薬品局(FDA)の定める適正製造基準(cGMP)に準拠したiPS細胞を製造する技術にある。田辺CEOは「(治療法を開発する企業への)iPS細胞の提供を増やすほか、将来的には自家iPS細胞由来のNK細胞を使った治療法の開発も目指す。他家細胞よりも高い安全性が期待できる」と説明する。進化するがん治療の新たな選択肢として、iPS細胞の活用がさらに広がりそうだ。

*「iPS(アイピーエス)細胞」
人工的に作製した多能性幹細胞。成熟した細胞に4種類、または3種類の遺伝子を導入することで初期化して作り出す。増殖能も高く、iPS細胞の状態で大量に増やすことができる。再生医療のほか、創薬研究への応用が期待されている。名付け親は、世界で初めてiPS細胞の作製に成功した京都大学の山中伸弥教授(ノーベル賞受賞)。

以上、短い記事ですが、如何でしたでしょうか? iPS細胞からがん治療を目的とした免疫細胞療法の開発は日本国内でも複数行われています。しかし、自身のがん細胞に反応するキラーTリンパ球などの免疫細胞は自身の細胞(自家)から作成するのが基本であるため、作成するタイミング、時間に課題があります。NK(ナチュラルキラー)細胞は本来ウイルスなどの自己以外の異常物質に反応する細胞なので一部のがん細胞には有効に働きますし、元の細胞も自己の細胞である必要もないことになります。がん細胞も一人ずつ異なります。当院で行っている多様な免疫細胞療法で治療を行っていますが、さらに可能性を広げることになります。有効性と安全性が確認できる事を期待しましょう。

2024年8月29日      福岡メディカルクリニック  内藤恵子

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