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No.71 ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化する自己抗原を同定 新たながん免疫療法への応用に期待

No.71 ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化する自己抗原を同定
新たながん免疫療法への応用に期待

生体防御医学研究所  和泉 自泰 准教授
2024.12.24 九州大学ニュース 研究成果 Life & Health Technology
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1193/

概要;大阪大学大学院医学系研究科 細野裕貴特任助教、大阪大学微生物病研究所 山崎晶教授、和泉自泰准教授(九州大学生体防御医学研究所)らの研究グループは、ナチュラルキラーT(NKT)細胞が認識する自己抗原を同定しました。
NKT細胞は、ナチュラルキラー細胞とT細胞の性質を併せ持つ免疫細胞です。がん細胞を排除する性質があることから、がん治療を目指した臨床試験が行われています。NKT細胞を活性化させる抗原は長らく不明でしたが、海洋生物から検出されたα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)が強力な抗原として発見されました。しかし、我々哺乳動物の体内にはα-GalCerが存在していないと長らく考えられていたため、NKT細胞が生体内でどのような抗原を認識して分化・活性化しているか不明でした。
今回研究グループは、α-GalCerが生体内に存在しており、ある種のがん細胞はこのα-GalCerを取り込んで提示することで、NKT細胞に効率的に排除されることを明らかにしました。生体にすでに備わっている、「がんを排除する機構」を効率化させるという、新しい予防法や治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Journal of Experimental Medicine」に、12月21日に公開されました。

用語解説;                               
(※1)NKT細胞:ナチュラルキラー細胞とT細胞の特徴を有する免疫細胞。一般的なT細胞と異なり、T細胞抗原レセプターの多様性が乏しいことから、invariant NKT細胞と呼ばれる。CD1d分子に提示された糖脂質を認識することで活性化する。多様な疾患・病態に関与していることが報告されているが、生体内での分化・維持機構についてはまだ不明な点が多い。
(※2)自己抗原;生体内に存在する「自分自身の成分」で、免疫システムが通常は敵とみなさず、攻撃しないタンパク質、脂質、代謝物など。一方、自己免疫疾患では、免疫システムがこれを誤って敵と認識し、攻撃してしまう。
ここではNKT細胞を活性化する内因性分子。
(※3)α-ガラクトシルセラミド;セラミドのスフィンゴイド塩基末端にガラクトースがα結合した構造をしており、海洋生物の海綿から発見された。NKT細胞の強力な抗原として知られている。担癌マウスに投与すると腫瘍縮小効果が得られることから、癌免疫療法への利用研究が進められている。

掲載誌:Journal of Experimental Medicine
タイトル:“Identification of alpha-galactosyl ceramide as an endogenous mammalian antigen for iNKT cells”

以上、如何でしょうか。2024年最後のメディカルトピックスに相応しいニュースと思います。瀬田クリニックグル-プにて最新治療として提供しているNKT細胞療法においてさらに知見が示されました。
がん治療の一つである免疫細胞療法は人間の体内で本来どおり正常に働くことが基本となります。種々の理由で機能不全となっている免疫細胞を強化する免疫細胞療法と標準治療をバランスよく行っていく事が良い結果となると考えます。
2024年12月31日   福岡メディカルクリニック   内藤恵子

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