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No.69 大腸癌のバイオマーカー検査、周術期での実施率は85%

No.69 大腸癌のバイオマーカー検査、周術期での実施率は85%

2024/10/10 日経メディカルOncology 鈴木 魁士=日経メディカルより要約
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/special2/guideline/

日経メディカルOncologyは、2024年7月に大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン医師用 2024年版」(以下、2024年版GL)が発刊されたことを受け、臨床現場における大腸癌治療の現状を明らかにすることを目的とし、大腸癌治療に関するアンケート調査を行った。対象は、消化器内科、消化器外科、腫瘍内科、その他の診療科の医師。回答者1056人。

周術期バイオマーカー検査、RAS/BRAFの測定率は約9割。近年の臨床試験の結果から、切除不能進行例のみならず周術期においても、治療効果および予後予測としてバイオマーカー検査の有用性が示唆されている。GLではRAS、BRAF、ミスマッチ修復機能欠損(MSI/MMR-IHC)検査の実施を「弱く推奨する」とした。

「術前にバイオマーカー検査を行っている」40%で、「術後にバイオマーカー検査を行っている」45%と合わせると、85%が周術期にバイオマーカー検査を実施していることが分かった。これらの医師(270人)が、測定しているバイオマーカーの種類は「RAS遺伝子」の95.6%で、「BRAF遺伝子」(89.6%)、「MSI/MMR-IHC」(78.1%)、「HER2遺伝子」(56.7%)と続いた。 (中略)

進行大腸癌の1次化学療法前に「バイオマーカー検査を行っている」が89%でであった。

切除不能進行大腸癌への1次化学療法を行う前に「バイオマーカー検査を行っている医師(280人)が測定しているバイオマーカーの種類は、「RAS遺伝子」の96.8%、「BRAF遺伝子」(93.6%)、「MSI/MMR-IHC」(78.9%)、「HER2遺伝子」(62.5%)と続いた。切除不能進行大腸癌への1次化学療法中または終了以降に69%が「バイオマーカー検査を行うことがある」と回答した医師は(218人)だった。

包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)検査に関して、検査実施のタイミングを尋ねたところ、「投薬できる標準的な薬剤がなくなった時」が19%、「2次治療の途中」が18%、「2次治療の前」が17%、「1次治療の途中」が10%という結果となった。また、「検査は実施しない」と回答した医師は全体の20%を占めていた。(中略)

以上、大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン医師用 2024年版」に関連したアンケートの中でもバイオマーカーとしての遺伝子検査についての実態を中心にまとめました。

当院では多くの方が複合治療として、抗がん剤(分子標的薬含む)、手術、放射線治療と並行して各種の免疫細胞療法を受けておられています。特に樹状細胞による特異的がんワクチン療法の適否を調べるために病理組織検体を用います。遺伝子検査も同じ検体を使用するので、遺伝子検査の進行状況を確認しています。遺伝子検査結果は今後の治療の参考になるものであり、現時点で使用可能な分子標的治療薬がなくても、数年で国内治験手順が短縮され承認されることもあります。分子標的薬の多くは副作用が比較的軽度で免疫細胞治療との併用も有効なことが多いです。より多くの方がこれらの多くの治療選択肢をあたえられ、優れた治療効果を得られることを願います。

2024年11月03日       福岡メディカルクリニック 内藤恵子

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