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No.76 がん攻撃力高める腸内細菌 「免疫療法」に効果か-樹状細胞とT リンパ球-

No.76 がん攻撃力高める腸内細菌 「免疫療法」に効果か-樹状細胞とT リンパ球-
MEDIFAX 9494号 2025年7月16日 より転載

免疫細胞にがん細胞を攻撃する力を持たせる「がん免疫療法」の治療効果を高める可能性がある新しい腸内細菌を見つけたと、国立がん研究センターなどのチームが14日付の英科学誌ネイチャーに発表した。この細菌は日本人の約2割が保有。患者に口から投与することで治療薬が効きやすくなると期待され、既に企業と臨床応用の検討を始めたという。
同センターによると、治療薬「オプジーボ」などを使ったがん免疫療法は、治療効果を高めるために他の薬と併用した場合でも、長期にわたって効果が得られるのは治療を受けた患者の約2割にとどまる。治療効果の有無に腸内細菌が関わっていると考えられているが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
チームは、がん免疫療法を行った胃がんや肺がんの患者計約70人のデータを分析した。薬がよく効いた人の便には、あまり効かなかった人に比べて特定の細菌が多く含まれていることが分かり、この細菌を「YB328」と名付けた。
細菌をマウスに投与して働きを調べたところ、腸内で「樹状細胞」という免疫細胞の一種を活性化していることが分かった。樹状細胞は腸を離れてがんのある部位に移動し、がんを攻撃する「T細胞」という別の免疫細胞に作用していたという。
さらに、実際の患者から採取したがん組織などを調べると、YB328の保有率が高い患者では、多くの活性化した免疫細胞が、がんに入り込んでいることが分かった。同センターの西川博嘉分野長は「この細菌は健康な人の体内にもいるので、安全だと考えられる。次世代のがん免疫療法への応用が期待される」と話している。 【共 同】

参考)
1)日本経済新聞 サイエンス 2025/07/15 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG1125O0R10C25A7000000/
2)国立研究開発法人国立がん研究センター  プレリリース  2025/07/15
腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する 免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定-英国科学雑誌「Nature」で発表-
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0715/index.html

今回の報告は今までのがん治療における免疫療法の疑問の一つの答えであると考えます。治療薬「オプジーボ(=PD-1阻害剤)」は腸内細菌「YB328」と関連し、最終的には樹状細胞を活性化、がん局所でTリンパ球細胞に作用していたということです。当院で治療として行っているTリンパ球療法や樹状細胞ワクチン療法が証明されていると思います。更なる研究の進展に期待いたします。
2025年7月17日      福岡メディカルクリニック 内藤恵子

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