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No.78『肉を食べても寿命は縮まらない!がん死亡率はむしろわずかに減少』

No.78『肉を食べても寿命は縮まらない!がん死亡率はむしろわずかに減少』1万6千人の米追跡調査で判明

2025/9/10  Yahoo japanニュース ヨガジャーナル(改変)

肉や卵、乳製品といった動物性たんぱく質は、私たちの体づくりに欠かせない重要な栄養素である。しかし、これまで「食べすぎると寿命が縮む」「心臓病やがんのリスクが高まる」といった懸念が語られ、特に健康や美容を意識する女性の間では、肉を控える食生活が広まっていた。ところが、最新の大規模研究は、この常識を完全に覆した。 カナダのマクマスター大学の研究チームは、米国の「全国健康・栄養調査(NHANES III)」に参加した19歳以上の男女約1万6000人のデータを解析。対象者が日常的に摂取していた動物性・植物性たんぱく質の量と心臓病やがん、その他の原因による死亡リスクを長期にわたり追跡した。その結果、動物性たんぱく質を多く摂取する人でも死亡リスクは上昇せず、むしろがんによる死亡率はわずかに低下した。

■肉や卵はがん死亡率をわずかに低下させる 解析では、総たんぱく質量や植物性たんぱく質の摂取量と死亡リスクには明確な関連は見られなかった。一方で、動物性たんぱく質の摂取量が多い上位25%の群は、下位25%と比べてがんによる死亡率が約5%低下した。統計的にも有意であり、動物性たんぱく質はがんによる死亡からわずかに守ることが示された。研究では、米国国立がん研究所(NCI)の手法や多変量マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)などの高度な統計モデルを使用した。年齢、性別、BMI、喫煙習慣などの交絡因子も補正し、日々の食事量の変動を考慮して長期的な食習慣と死亡リスクの関係を正確に評価した。

■動物性・植物性たんぱく質、いずれも健康を支える 「たんぱく質はどれくらい、どんな種類を摂るのが健康に良いのか、これまで混乱や議論が絶えなかった」とマクマスター大学のスチュアート・フィリップス教授は述べる。研究の筆頭著者、ヤンニ・パパニコラオ氏も、「観察研究と臨床試験の結果を総合すると、動物性・植物性のどちらのたんぱく質も健康と長寿に寄与する」と断言する。これまで「肉の食べすぎは寿命を縮める」と信じられてきたが、今回の結果はその認識を覆した。動物性たんぱく質を適量摂ることで、死亡リスクは上がらず、がんによる死亡もわずかに減少する。

■女性にとって肉のメリットは特に大きい たんぱく質は筋肉や肌、髪、ホルモンの材料となる重要な栄養素である。特に40代以降は筋肉量や基礎代謝が低下するため、十分な摂取が欠かせない。筋肉量の維持は転倒防止や代謝維持につながり、肌や髪の健康も支える。更年期以降は女性ホルモンの減少により、骨や筋肉、肌の変化が加速するが、良質なたんぱく質を適切に摂取することで、こうした変化を緩やかにする効果がある。「肉を食べると太る」「肌に悪い」という誤解から避けることは、健康や美容にマイナスである。

■適量を守れば、健康的な食生活の味方となる 今回の研究は「肉=がんリスク」という誤解を完全に覆した。動物性たんぱく質を適量摂ることで、死亡リスクは上がらず、がん死亡率もわずかに減少する。もちろん食べすぎは避ける必要があるが、肉や魚、卵、乳製品をバランスよく食卓に取り入れることは、健康で長寿を支える大きな一歩である。筋肉や肌の健康、代謝維持を意識する女性にとって、肉や卵、乳製品を適度に取り入れることは、美容と健康を両立させる食生活の基本と言えるだろう。

出典: Eating meat could protect against cancer-related death, study suggests Surprising Study Finds Meat May Protect Against Cancer Risk:McMaster University. August 25, 2025

以上、漸く正しいエビデンスが出たようです。特にがん治療を受けている患者さんには大きな励みになると思います。実際抗がん剤や放射線治療、外科治療で食欲低下、体重減少が顕著なのに、これまでの知見に従ってタンパク質(特に赤身肉)制限を極端にされている方の予後が良くない傾向を感じます。酸化した動物性脂肪や保存剤使用の超加工肉などは避けるべきとは思います。抗がん剤治治療では味覚変化が起こり、食事に苦労されている方が多い中、選択肢が増えることは朗報です。免疫細胞治療も、治療で必要ながん免疫細胞を増やしてお体に戻し、がん免疫サイクルを再起動させ、自身の体内で免疫細胞を作り続けることが必要です。このために体を維持することは重要と考えています。

2025年9月15日   福岡メディカルクリニック 内藤恵子

 

 

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