当院で実施している免疫療法②
IMMUNOTHERAPY PRACTICED
IMMUNOTHERAPY PRACTICED
NKT細胞療法は、患者さんの血液成分から誘導した樹状細胞に糖脂質であるα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)を添加し点滴で静脈に投与します。
この樹状細胞が患者さんの体内にいる少量のNKT細胞を増殖・活性化させ、NKT細胞がもつ様々な働きによってがんを制御することを期待しています。
当院のNKT細胞療法は、成分採血と注射器による採血のどちらでも実施できます。
成分採血の場合、一度に最大12回分の治療用細胞を確保することができます。そのため、何度も成分採血をするような身体的負担を減らし、また1回あたりの治療費を抑えることで経済的な負担も少なくなります。一方、毎回治療時に採血が必要となりますが、通常の採血でも実施可能です。
では、NKT細胞はどのようにして体内でがん細胞を制御しているのでしょうか。NKT細胞のがん細胞制御のしくみには以下のようなはたらきが知られています。
その他にも、NKT細胞は免疫細胞からのがん細胞の攻撃を阻害するような悪さをする細胞(抑制性の細胞といいます)のはたらきを抑えることで免疫機能を回復します。NKT細胞によって活性化した免疫細胞は体内に長期的に残り、持続的にがん細胞を攻撃することが知られています。
NKT細胞療法を実施しても、患者さんの体内で実際にNKT細胞が活性化しなくては意味がありません。当院はNKT細胞を強力に増殖・活性化させる樹状細胞を開発し、使用しています。このNKT細胞療法に用いる樹状細胞のはたらきについて詳細に解析しています。
当院のNKT細胞療法は臨床試験(jRCTc030220374)において重い副作用がなく安全に実施できました。また、NKT細胞療法を実施した患者さんの体内で、NKT細胞が増殖し、免疫の活性が高まることを確認しています。
NKT細胞療法に関する治療効果をみる研究はさまざま実施されており、千葉大学では進行・再発非小細胞肺がんの患者さん対象とした臨床試験において良好な成績を確認し、「先進医療B」として国に認可されました。
その他にも、現在もNKT細胞に関する様々な研究が世界中で実施されています。
当院ではNKT細胞療法と樹状細胞ワクチンを一度の成分採血で実施することが出来る独自の治療法を提供しています。2つの治療を併用することで、NKT細胞と樹状細胞のそれぞれの効果が相乗的にはたらき、より強力ながん抑制効果が期待されます。また、一度の成分採血で各々の治療が最大12回(全24回)実施可能となります。同時に細胞を加工するために、培養コストを大幅に削減することが可能となり、経済的にも負担が少ない治療法となりました。