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No.11 がん研、原発不明がんの全ゲノム解析  

No.11 がん研、原発不明がんの全ゲノム解析

支援呼びかけ:クラウドファンディングで2,000万円調達予定

Oncology Tribune 2020年01月23日より抜粋)

 

「がん研究会は、原発不明がんの治療法の解明に向けて全ゲノム解析をはじめとしたマルチオミックス解析を計画、クラウドファンディングによる資金調達への協力を呼び掛けている。同研究会がんプレシジョン医療研究センター標的分子探索グループリーダーでがん研有明病院(東京都)副院長・総合腫瘍内科部長の髙橋俊二氏らが、研究の詳細について1月21日に東京都で行われた記者会見で報告した。」

「わが国において、原発不明がんは悪性腫瘍のおよそ1〜5%を占め、年間診断数は1万〜5万人に上る。原発不明がん患者の多くは予後不良であり、TC療法(カルボプラチン+パクリタキセル)の有効性が報告されているものの、標準療法は確立されていない。」「がんゲノム医療の進展に伴い、原発不明がんにおいても遺伝子診断への期待が寄せられている。」しかし、2018年に改訂された『原発不明がん診療ガイドライン』では、遺伝子発現プロファイルにのっとった治療や網羅的な遺伝子検索・遺伝子情報を基にした分子標的薬治療について、「現時点では臨床試験として実施されるべきものであり、行わないことを推奨する」としている(関連記事:「原発不明がん診療GLが8年ぶりに改訂」)。」(中略)

「全ゲノムおよびRNA解析により、がん遺伝子パネル検査や全エクソン解析では捉えきれない遺伝子異常をはじめ、異常遺伝子の細胞内シグナル、腫瘍細胞のサブタイプ(原発がんのがん種)、遺伝子や蛋白質の相互作用の仕組み、免疫に作用する細胞などを解析できる可能性がある。同氏は『本プロジェクトにより、原発不明がんに共通する遺伝子変異や分子異常を検出し、新たな治療標的分子の特定により治療薬の創生に寄与し、患者さんの希望となることが期待される』と結論した。」

「会見にはがん研究会がん研究所所長の野田哲生氏、がん研有明病院病院長の佐野武氏、同研究会がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔氏も登壇。中村氏は『従来、がん治療の開発は臓器別に進められてきたが、原発巣が不明ながんに対してはこの手法が適切とはいえない。遺伝子解析を進めて最適な治療を見いだすことで、原発不明がんで苦しむ患者に貢献したい』と期待を寄せた。」

2020年初頭より頼もしいニュースが入ってきました。マルチオミックス解析という言葉は難解ですが、要はがん細胞を遺伝子解析し、異常部位や分子標的薬や免疫治療が有効性を示す部分など根拠を得て治療に入ることを目指すための資金調達(協力要請)をするということです。

国が保険診療で謳っているいるがん遺伝子異常を調べるがんパネル検査は「標準治療がすべて無効である場合と希少がん」が対象であり、またパネル検査項目だけではすべての異常が網羅されるとは限らない状況です。全ゲノム検査により更なる治療の可能性が出てくると考えます。

また免疫細胞治療である「樹状細胞によるがんワクチン」においても、従来我々はがんの臓器に別に関係なく、各人のがん細胞検体を調べ、一人ずつのがんの目印(がん抗原)を確認して治療に用いてきました。データ集積されています。さらに、上述のプロジェクトで用いられる次世代シークエンサーで、がん組織スライド検体により遺伝子異常解析から今までにないがんの新抗原(ネオアンチゲン)を検索することができることとなりました。検査には2-3か月の時間が必要ですが、より有効な樹状細胞ワクチンが作成できる可能性が高まりました。

どのようながんの治療においても、がん細胞を制圧するためには、腫瘍の除去・減量・増殖能の減弱化、そして腫瘍を特異的に認識する免疫反応機構を成立させ、進行させないことことと考えます。

がんの治療はここ数年、研究成果が臨床現場に適応され始め、治療が刻々と変わってきています。手術検体や血液、体液で検査できることの精度も格段に向上してきました。

このメディカルトピックスでは、私の説明が不十分で難解だ~とお叱りを受けておりますが、がん分野研究が、国が、世界がどのように進んでいるかを、何とか皆さんにお知らせしたいと考えております。「早く知っていれば~」が少しでもなくなりますように。

2020年1月25日   福岡メディカルクリニック 内藤恵子

 

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