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No.33 新型コロナの重症化、カギは「キラーT細胞」にあり!?

No.33 新型コロナの重症化、カギは「キラーT細胞」にあり!?

2021/8/25 11:13 配信 ニュースイッチ 日刊工業新聞 よりhttps://news.yahoo.co.jp/articles/8c8b4e5df80312e36fd6fbc0fcc3825bc3b9cd73

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の城憲秀特定助教、浜崎洋子教授らは、新型コロナウイルス感染症で、感染細胞を攻撃する「キラーT細胞(細胞障害性CD8陽性Tリンパ球)」へ加齢や他の潜伏ウイルス感染が与える影響を明らかにした。

若齢者と高齢者の比較で、高齢者では老化したキラーT細胞が多かった。一方、他の免疫細胞の働きを調整するヘルパーT細胞(抗体産生CD4陽性Tリンパ球)では年齢差がみられなかった。重症化しやすい高齢者の治療やワクチン戦略の参考になるとみられる。

新型コロナに感染していない20代の若齢者と70代の高齢者で、新型コロナウイルスに反応 するT細胞の数や性質を調べた。ヘルパーT細胞では年齢差がみられず、ともに以前の反応を 長期間維持する記憶型が中心で高齢者でも抗体ができると示唆された。

一方、キラーT細胞では個人差も大きかったが、高齢者は若齢者に比べ反応する抗原に出会 う前のナイーブ型が少なく、増殖能力を失ったり組織障害を起こす可能性を持つ細胞が多い 傾向があった。

また、今回の被検者は、多くの人の体内に潜伏しているサイトメガロウイルス(CMV)に ついて、高齢者は全員、若齢者は半分が感染していた。若齢者のCMV感染者はキラーT細胞の 状態が高齢者に近い傾向だった。

高齢者が新型コロナで重症化しやすい理由の一つとしてキラーT細胞の機能低下が考えられる。また、CMVの感染が新型コロナの症状の個人差が大きい要因の一つである可能性が示された。(一部改変)

(参考)

加齢やサイトメガロウイルス感染が新型コロナウイルス反応性キラーT細胞に与える影響

https://www.amed.go.jp/news/release_20210823.html

 

今回はメディカルトピックスNo.30でもお話をしたウイルス感染に関して抗体産生機能を持つヘルパーTリンパ球とさらにウイルスを処理するキラーTリンパ球の実際を日本人で調べた報告です。目標はウイルスであれ、がん細胞であれ、それらを処理するにはヘルパーTリンパ球を刺激し、また、キラーTリンパ球が質や数で必要であるということです。さらにキラーTリンパ球の中でも老化が起こっているので、新しいキラーTリンパ球も必要である示唆した研究です。免疫反応というのは複数の機能が連鎖して、効率よく機能するということが分かります。免疫細胞療法はこれらを調整強化する治療法です。

2021年9月26日  福岡メディカルクリニック 内藤恵子

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