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No.25 COVID-19ワクチンとがん患者:知っておくべき4つのこと

N0.25 COVID-19ワクチンとがん患者:知っておくべき4つのこと

Medscope Medical News公開日:2021/01/13

https://www.carenet.com/medscape/oncology/000752.html

Medscape誌は今週、がん患者へのワクチン接種についてNora Disis氏と話した。Disis氏は、ワシントン州シアトルにあるワシントン大学のInstitute of Translational Health SciencesおよびCancer Vaccine Instituteの両所長を兼務する腫瘍内科医である。ワクチンがついにがん患者に届き始めるに当たり、がん専門医が知っておくべきであるとDisis氏が述べたテーマを紹介する。

がん患者はワクチンに反応すると期待すべきである

従来、がん患者はワクチンで免疫反応を起こせないと考える人もいた。しかし、ほかのウイルスワクチンに関するデータは、そうではないことを示している。たとえば、がん患者へのインフルエンザワクチン接種の研究には長い歴史があり、概してワクチンにより感染から防護される。一般的にがん患者が接種を受けるべき肺炎球菌ワクチンでも同様に防護された。(中略)

がん患者にはワクチンの種類が非常に重要となるだろう

現在、61の新型コロナウイルスワクチンにおいてヒトでの臨床試験が行われ、17は試験の最終段階に達している。(略)Pfizer-BioNTechとModernaのCOVID-19ワクチンはどちらもmRNAタイプである。(略)ほかにも多くの種類がある。mRNAワクチン以外のワクチン、とくに弱毒化生ウイルスワクチンは、がん患者には良い選択とならない可能性がある。とりわけ、急性進行がん患者や化学療法を受けている患者は、弱毒化生ウイルスにより軽度の感染症を発症する可能性がある。

なお、Pfizer-BioNTechとModernaが開発した遺伝子ワクチン(mRNAワクチン)で使用されている技術は、当初、がんと闘うために開発されたもので、研究によると、患者はこの種類のワクチンでがん関連タンパク質への免疫反応を起こすことができる。これらの遺伝子ワクチンは、がん患者、とくに固形がん患者で最も高い有効性を示す可能性がある。

現時点で、われわれの理解は非常に限られている

Pfizer-BioNTechおよびModernaの初期データでは、がん患者に関して検討されていない。がん患者にとって最も重要な2つの問題は、用量および追加免疫スケジュールの設定である。がん患者のリンパ球機能は欠陥を有する可能性があるため、独自の初期投与および追加免疫のスケジュールが必要な場合がある。積極的治療がワクチン接種に対する患者の免疫反応にどう影響するか、ワクチンと治療サイクルのタイミングを合わせるべきかなど、タイミングに関し不明確である。(中略)がん患者のCOVID-19リスクは、やはり併存疾患によって引き起こされるとの示唆もある。したがって、がん治療の種類、疾患部位、併存疾患など患者ごとのリスク因子が、がん患者のワクチン接種に関する個々の選択を決定するであろう。(以上)

2021年 最初のメディカルトピックスです。コロナウイルスワクチンについては、今までもメディカルトピックスで何度か取り扱ってきました。がん患者さんはリンパ球によるウイルスや異常細胞に対する免疫機能が低下していると考えます。日本でもコロナウイルスに対するワクチン接種の準備が開始されていますが、情報も少なく、皆さんも思案されているのではないでしょうか?腫瘍内科医Disis氏が述べられている様に、がん患者さんにはワクチンが有効である可能性はあるとともに、治療とのタイミングなども考慮が必要と思われます。抗がん剤や手術、放射線治療においてかかりつけ主治医とご相談をされることが必要と思われます。

(参考)

No.17 キラーT細胞の機能~新型コロナウイルスに対するT細胞記憶

No.21 アンジェス、新型コロナウイルスDNAワクチンの臨床試験へ

2021年1月23日  福岡メディカルクリニック 内藤恵子

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