メディカルトピックス
MEDICAL TOPICS
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早期胃がん検出後も1年間隔の監視が必要
メディカルトリビューン Oncology Tribune
2022年08月25日 小路浩史より改変
胃がん高リスク患者において、単回の内視鏡検査では早期がんがしばしば見落とされる。約4,500例を登録した国内ランダム化比較試験(RCT)ECG Detectionでは、早期胃がんが発見された患者の1年後に行われた検査での新規胃がん検出率は、当初の検出率と同等で、高リスク患者では1年間隔でのサーベイランスが必要である可能性が示唆された。詳細は、兵庫県立がんセンター消化器内科部長の山本佳宣氏らがJAMA Netw Open(2022; 5: e2227667)に報告した。
集中検査1年後の新規がん検出率と危険因子を検討
山本氏らは、2014年10月~17年9月に胃がん高リスク患者4,523例を非盲検RCTに登録。2種類の内視鏡(モダリティ(2G-NBIとWLI))で連続して非拡大観察を行う集中内視鏡検査(以下、インデックス内視鏡)において、早期胃がん検出における2G-NBIの有用性をWLIと比較した。(中略)
対象の平均年齢±標準偏差(SD)は70.6±7.5歳で男性が78.0%、全例日本人。インデックス内視鏡で早期胃がんが検出されたのは133例(3.0%)で、2回目のモダリティでの検出は36例(27.1%)で、単回の検査では見逃しが多いことが示唆された。
インデックス内視鏡の9~15カ月後にサーベイランス内視鏡を実施し、サーベイランスで新たに胃がんが検出された患者(症例群)と、症例群と新規がんが検出されなかった同数の対照群を比較した。(中略)
新規検出率2.6%、開放型萎縮性胃炎などが危険因子
4,146例(92.7%)にサーベイランス内視鏡を実施した結果、新規胃がんの検出率は2.6%(107例)でインデックス内視鏡との差はなかった。インデックス内視鏡で早期胃がんが検出された133例中110例(82.7%)が15カ月以内にサーベイランス内視鏡を受け、そのうち新規胃がんが検出されたのは12例(10.9%)だった。(中略)新規胃がん検出の独立した危険因子として開放型萎縮性胃炎の存在およびインデックス内視鏡による早期胃がん検出が同定された。
山本氏らは「胃がん高リスク患者では、2つの内視鏡(モダリティ)を用いたインデックス内視鏡を施行しても、約1年後のサーベイランス内視鏡での新規胃がん検出率は低下しなかった。これらの患者群では早期胃がん発見から1年間隔でのサーベイランスが必要である」と結論している。
以上。早期胃がんで発見され治療を行われた人たちにおいて9~15カ月後にサーベイランス内視鏡の約10%で新規早期がんが発見されたということである。がん発症の前には数年~10年のガン化前段階があり、開放型萎縮性胃炎などは前がん状態に近しいと認識するべきかもしれません。当院では、この段階では免疫細胞治療による先制医療対象と考えています。マイクロRNA異常の改善などを確認しています。早期発見の機会がコロナ感染症で減少しています。早期対応が気になっている方は先制医療を検討されてはいかがでしょうか??
2022年8月27日 福岡メディカルクリニック 内藤恵子