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No.10 がん5年生存率66・4% 10~11年、国立センター

No.10 がん5年生存率66・4% 10~11年、国立センター

(2019/12/14  日本経済新聞より抜粋)

国立がん研究センターは14日までに、「がん診療連携拠点病院」など専門的な治療をする全国の病院で2010~11年にがんと診断された患者の5年後の生存率は66.4%で、09~10年と比べ0.3ポイント増加したと発表した。算出は5回目で、改善傾向が続いている。13年に診断された人の3年生存率は72.4%で、12年に診断された人の生存率を0.3ポイント上回った。

15種のがんについては個別に5年生存率を集計。前立腺の98.8%、乳房の92.2%が高い一方、早期発見が難しい膵臓(すいぞう)は9.8%と低い。今回新たに集計した喉頭と腎臓は約80%と高かったが、尿管は49.0%、胆のうは29.3%と低かった。喉頭は患者の9割以上が男性だった。

318病院、約65万人分の「院内がん登録」データを使った。

胃や大腸など患者が比較的多い5種類のがんについて、診断時の進行度と年齢別の生存率を集計すると、高齢者は若い世代より生存率が低い傾向があった。同センターの奥山絢子室長は「高齢者はがん以外にも病気を抱え、(強い副作用で体に負担のかかる抗がん剤など)若い世代と同じ治療ができない例があるためではないか」と話した。(中略)

都道府県別、病院別の生存率や患者数などは同センターのウェブサイト「がん情報サービス」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.htmlで見られる。ただ、自治体や病院ごとに患者の年齢や病状の構成がまちまちなため、治療の良しあしの比較には使えないとしている。〔共同〕(以上抜粋)

定期的に発表されているがん生存率調査結果ですが、近年は10年生存率も出されてます。注意したいのはこの統計は2010~11年にがんと診断された患者の統計であり、病期進行度でも大きく異なります。さらにがんの治療法は進化の一途をたどっており、この年代の治療とは現在は全く異なって、治療成績も良くなっています。統計が遅れるのは仕方ありませんが、もう一つ注意すべきなのは、このデータがあくまでも集団のデータであり、現在のように個別の精密医療に基づく治療の恩恵を受けている人々のデータは更に改善しています。今後に期待したいと思います。

リンパ球減少が死亡リスク上昇と関連

(2019/12/16 medical tribuneより抜粋)

通常の血液検査で測定できるマーカーに、一般人口における死亡リスクを予測できることが米・University Hospitals Cleveland Medical CenterのDavid A. Zidar氏らの研究で示された。米国民保健栄養調査の参加者3万人超のデータを解析した結果、リンパ球絶対数(ALC)が減少していた人では死亡リスクが1.3~1.8倍高いことが分かったという。JAMA Netw Open(2019; 2: e1916526)(中略)

対象者の年齢中央値は45歳(30~63歳)、1万6,260人(52.2%)は白人以外の人種だった。また、12年間の追跡期間中の生存率は82.8%だった。リンパ球減少(ALC 1,500/μL以下)が認められた割合は20.1%、重度のリンパ球減少(ALC 1,000/μL以下)が認められた割合は3.0%だった。

リンパ球数やRDW(赤血球)、CRP(炎症反応)に基づいた免疫血液学的プロファイルが高リスクの人の割合は、2型糖尿病がある人の割合の約2倍(19.3% vs. 10.0%)だったが、免疫血液学的プロファイルが高リスクの人では死亡リスクが約3倍に上昇していた。また、免疫血液学的プロファイルが低リスクの70~79歳の人では、同プロファイルが高リスクの60~69歳の人と比べて10年生存率が高かった(74.1%vs. 68.9%)。

これらの結果を踏まえ、Zidar氏らは「リンパ球減少は、生存率低下に独立して関連する因子であった。特に赤血球の造血能の低下や炎症レベルの上昇があると生存率はさらに低下した」と結論。その上で「一般的な血液検査で調べることのできる免疫状態や炎症指標により、死亡リスクの高い人を予測できることが明らかになった」としている。(以上抜粋)

瀬田クリニックグループはがんの免疫細胞治療の治療評価を目的に「免疫機能検査(FCM)」を2014年より独自に開発し、がん患者さんはリンパ球の中でもアルファベータTリンパ球やCD8陽性キラーT細胞が減少しており、アルファベータT細胞療法を行なうことでがん免疫能を改善できることを確認しています。これらが改善する事とがん治療効果を上げることとは関連していると考えられます。

(参考)Impaired and imbalanced cellular immunological status assessed in advanced cancer patients and restoration of the T cell immune status by adoptive T-cell immunotherapy.;International Immunopharmacology 18 (2014) 90-97

がんの治療方法は現在では選択肢が多く存在しています。抗がん剤(分子標的薬)等も一人ずつ精密に検査を行い決定します。また、がん免疫細胞治療もがんに対する免疫機能の効果を高めるために、免疫細胞の攻撃目標(オンコアンチゲン・ネオアンチゲン等)を精査し、樹状細胞ワクチン治療をリンパ球療法と並行して行っていきます。リンパ球が減少している場合は量的・質的に増加を行い、バランスの乱れを改善していく事が可能です。

是非、がんを制御する為にできることについてご相談いただき、一緒に考えさせていただきたいと思います。

福岡メディカルクリニック 内藤恵子

 

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