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No.(55)56「体に良い」も過ぎると「体に悪い」になる場合がある(2)

No.56 「体に良い」も過ぎると「体に悪い」になる場合がある(2)

「体に良い」特定の食品ではなく多様な食品をバランス良く食べよう

日経Gooday 2023/6/27 野口緑(大阪大学大学院公衆衛生学特任准教授)より転載

https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/20/120400009/062200031/?ST=print 1/7

No.55(1)より続く

 毎日必ずとってほしい食品は?

食生活で大切なのは「体に良い」特定の食品ではなく、いろいろな食品をバランス良く食べることです。そうすることで必要な栄養素をとることができ、特定の栄養素のとり過ぎも防げます。そのための「食品の目安量」というものがあります。健診結果がいくつか基準値を超えている人でも、これに従って食事をしていると血液データが「美しく」なることが期待できます。もともとは女子栄養大学の創設者・香川綾先生が提唱した「四群点数法」(*3)という考え方で、私はここから点数計算を外して自分流に簡単にアレンジした「4群分類法」を使っています。基本的には、食品を大きく4群に分ける考え方です。

毎日とるべき4種類の食品群

1群は「乳・乳製品、卵」です。私たちの体にとって重要な栄養素であるたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。その20種類のアミノ酸のうち、体内でつくることはできず外からとらなければいけない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。牛乳や卵はこの9種類の必須アミノ酸をバランス良く含む食品の代表です。

2群は「肉、魚、豆・豆製品」というたんぱく質を多く含む食品群で、これらも必須アミノ酸をバランス良く含みます。この1群と2群が主なおかずになります。

四群点数法をもとにした計算から、これらは1日の目安量が決まっていて、牛乳は200mL、卵はMサイズ1個、肉と魚は各50~100gくらいです。魚50gの目安は2分の1切れ、刺し身なら1人前くらいになります。豆・豆製品は、豆腐なら3分の1から4分の1丁(110g)です(※たんぱく質の1日の摂取目標量は性別や身体活動量により異なり、男性の方が女性より多くなっていますが、日々の生活ではたんぱく質の量を測定して摂取するわけではないため、継続しやすい目安量としてこのように表現しています)。

1日3食の食事では、この1群と2群、すなわち「乳・乳製品」「卵」「肉」「魚」「豆・豆製品」の5種類を1つずつ振り分けていきます。例えば、朝食に牛乳と目玉焼きを食べたら、それで1日の牛乳と卵は終わり。昼はサケの切り身が入ったお弁当を食べて、それで魚は終わり。夜は残りの肉と豆・豆製品です。居酒屋で焼き鳥と枝豆というのでも構いません。朝は和食で焼き魚と豆腐の味噌汁を食べたら、残りは乳・乳製品、卵、肉です。ランチは卵サンドと牛乳にして、夜に肉を食べる…という具合です。肉と魚はどちらか一方ではなく、両方とも毎日1回ずつ食べてほしいと思っています。このように5種類の食品を3食に振り分けて、それぞれに野菜と主食をつければいいのです。

1~3群の目安量は成人なら基本的にほぼ同じ

3群は「野菜、イモ類、果物、キノコ、海藻」です。野菜の1日の目安量は、350g以上、内訳は緑黄色野菜120g以上+淡色野菜。火を通せば小さくなるので大した量ではないのですが、それでも1食で食べ切るには結構な量であり、「毎食必ず野菜を食べる」というのは意識しないとなかなかできないかもしれません。イモ類と果物はそれぞれ1日1回食べます。ジャガイモなら1個、ミカンなら2個、キウイなら1個、バナナは1本、リンゴやグレープフルーツは半分です。イモ類や果物はおろそかにしがちですが、どちらも1日のどこかで必ず食べてほしいです。さらに、少しずつでいいのでキノコと海藻も1日1回は食べるようにしましょう。すると、トータルではかなりの量を食べないといけません。炭水化物やたんぱく質に偏った食生活をしている人が多いと思いますが、このように「たくさんの種類」を食べることが重要なのです。

1群から3群までの目安量は、男性でも女性でも 、若者でも高齢者でも、健康な成人ならみんなほぼ同じと考えてよいでしょう。最後の4群は「穀物、砂糖、油脂」です。この4群の目安量は年齢や体格によって変わってきます。

食事の席に若い人がいると、よく「若いんだからもっと肉を食べろ」なんて言いますよね。若い人は代謝が良いので太りにくいのは確かですが、成人の場合、20代でも60代でも必要なたんぱく質の量はそれほど大きくは変わりません。高齢者は吸収が落ちるので、むしろ若者よりたくさん肉を食べた方がいいくらいです。成長期の子どもは細胞を増やすために多くのたんぱく質をとらないといけませんが、20歳を過ぎた大人は傷んだところを修復する材料を補えればいいので、そんなにたんぱく質はいらないのです。

 

1日に食べるべき食品とその目安

各食品の基準量のうち、主なおかずとなる1群と2群の量を確認しよう。あなたの普段の摂取量と比べてどうだろうか。いろいろな食品をとることで栄養素のバランスをとるいろいろな食品をとるのが大切なのは、それぞれの食品群に特徴的な栄養素があり、一つの食品に偏り過ぎると十分な量をとるのが難しかったり、逆にとり過ぎてしまったりするからです。

例えば、最近、腸内細菌研究で注目されている食物繊維は、血糖値の急上昇や腸内でのコレステロールの再吸収を抑える働きがあり、重要な栄養素の1つです。しかし、1日当たりの目標量(成人女性18g以上、成人男性21g以上)を1つの食品からとろうとすると難しく、野菜350g以上、イモ類、キノコ、海藻をバランス良く食べることで、目標量を満たしやすくなります。

また、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品は1群と2群に集中しています。ですから1群と2群を食べ過ぎると、血中のLDLコレステロールが上がってしまいます。たんぱく質やカルシウムをとろうと思って牛乳を飲み過ぎたり肉を食べ過ぎたりすると、飽和脂肪酸のとり過ぎでコレステロールが上がってしまうわけです。野菜にだってカルシウムやたんぱく質が入っています。必要なたんぱく質やカルシウムをとる一方で、コレステロールや飽和脂肪酸をとり過ぎない量としてお勧めなのが、牛乳は200mL、肉と魚が50~100g以内なのです。果物はカリウムやビタミンCが豊富で体に良いのですが、糖質も多いので、とり過ぎると血糖値が上がってしまいます。果物に含まれる果糖は中性脂肪を上げる作用も強いです。

1~4群の食品の中で特にメニューから抜けがちなのはキノコと海藻です。これらの摂取が抜けると、結果的に食物繊維やカルシウムが足りなくなってしまいます。少しずつで構わないので、毎日食べるようにしてください。

繰り返しますが、ある栄養素をとろうと1つの食品ばかりを積極的にとるのではなく、いろいろな食品からバランス良く必要な栄養素をとることが大切です。年齢や性別を問わず目安量がほぼ同じ1~3群に対して、主食を含む4群は体格や年齢によって必要な目安量が変わってきます。そこで次回は「あなたが食べてもいいご飯の量」についてお話ししたいと思います。(まとめ:伊藤和弘=フリーライター)Copyright © 2023 Nikkei Inc. All rights reserved.

以上。

がん治療や予防医療で最も多い質問が、「何を食べるとよいのか」という事です。体の状態は皆さん一人ずつ異なるので、疾病により多少は異なりますが、基本は一つのものに偏らず、まんべんなく、必要な栄養を取るということです。手術などにより消化管機能に問題がある方などは海藻の摂取方法は工夫が必要ですし、医薬品やサプリメントでの補充も必要かもしれません。通常検査、検診+αの検査で、チェックをすることも可能です。是非、参考にされて日々の食事を再点検してみましょう。

2023年7月2日   福岡メディカルクリニック   内藤恵子

 

 

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