福岡メディカルクリニック

MENU
資料請求・問い合わせ
New お知らせ
New 説明会
New メディカルトピックス

メディカルトピックス

MEDICAL TOPICS

No.58 ノーベル賞のmRNA、がん治療にも応用 モデルナ治験

No.58 ノーベル賞のmRNA、がん治療にも応用 モデルナ治験

2023年10月2日 日本経済新聞 電子版より引用

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC02AQU0S3A001C2000000/

新型コロナワクチンの成功を受け、世界の製薬各社はメッセンジャーRNA(mRNA)を使う「mRNA医薬」の開発を急いでいる。米モデルナは世界初となるエイズウイルス(HIV)の臨床試験(治験)を始め、注目を集めている。独ビオンテックと米ジェネンテックはがん治療への応用を目指す。

モデルナは感染症だけでなく、がん治療でも複数のmRNA医薬の開発に取り組む。がん細胞の目印となるたんぱく質などをつくるmRNAを患者に投与し、がんを攻撃する免疫細胞の働きを活発にする。免疫の仕組みを生かす「がん免疫薬」と併用し、効果を高めようとしている。

2017年には固形がんの患者を対象にした臨床試験(治験)を始めた。米メルクと共同で治療効果を探る第3相治験を進めている。19年には膵臓(すいぞう)がんや肺がんなどを対象に、22年には難治性の乳がんなどを対象に安全性を確かめる第1相治験を始めた。HIVやインフルエンザへの治験も進んでいる。

米国のデータベースによると、mRNAを活用した医薬品開発は2300件以上に及ぶ。先行する米ファイザーだけでなくスイスのロシュや英グラクソ・スミスクライン(GSK)、英アストラゼネカのほか、日本でも第一三共などが参入した。

mRNA医薬は原則冷凍保管が必要なほか製造コストが高額で、免疫反応も少なくないなど課題は山積している。様々な患者に恩恵を広げるには、製薬各社がどれだけ改良できるかがカギを握る。

mRNA技術、多彩な用途=がん治療薬研究も―専門家「可能性は無限」・ノーベル賞

時事通信ニュース2023-10-02より引用

https://sp.m.jiji.com/article/show/3063092

メッセンジャーRNA(mRNA)を活用した医薬品はワクチンに限らず、海外ではがん治療薬などの開発も進んでいる。専門家は「応用の可能性は無限だ」と指摘する。
米ファイザーなどの新型コロナウイルスワクチンは、人工合成したmRNAが含まれている。mRNAはウイルス表面の突起部分のたんぱく質を作る「設計図」の役割を果たしており、ワクチンを接種してmRNAが細胞内に取り込まれると、体内でこのたんぱく質が作られて免疫ができる。
mRNAを医薬品に利用する発想は30年ほど前からあった。ただ、そのまま投与しても体内ですぐに分解されたり、異物として認識され炎症反応を引き起こしたりしてしまう問題があった。
カタリン・カリコ博士は2005年に発表した論文で、「ウリジン」と呼ばれるmRNAを構成する物質の一つを、似た物質に置き換えた結果、炎症が抑えられることを示した。これ以降、ワクチン実用化に向けた研究は加速し、欧米のベンチャー企業を中心に開発が本格化した。
mRNAワクチンの最大の利点は、作り替えが容易な点だ。従来のワクチンは、ウイルス自体を増やして不活化するなどの必要があった。一方、mRNAワクチンはウイルスの遺伝子配列が分かればmRNAをそれに合わせるだけで済み、短期間で開発できる。新型コロナワクチンの開発は遺伝子配列の情報公開から1年未満で成功した。
mRNA医薬品はワクチンに限らない。薬となり得るたんぱく質が分かれば、mRNAを投与し、体内で目標のたんぱく質を作製することが可能だからだ。欧米の企業ではがんや虚血性心疾患の治療薬について臨床試験(治験)が進む。
国内では、東京医科歯科大の位高啓史教授(核酸医薬)らが、ラットに骨や血管の形成を促すたんぱく質を作るためのmRNAを投与し、顎の骨を再生させることに成功した。位高教授らは、軟骨の再生を促すたんぱく質を作るmRNAを用いた変形性関節症の治療についても治験の準備を進めている。
位高教授は「mRNAを投与すれば、原理的にはどんなたんぱく質も体内で作り出せる」と指摘。「ワクチンだけでなく、希少疾患も含めたさまざまな病気の治療薬や再生医療にも応用できる。現時点では考えも付かない使い方が出てくるかもしれず、非常に大きな可能性を持っている」と話す。

mRNAはがんなどの治療薬としても応用が期待されている。鈴木教授は「一人ひとりのがん細胞に応じた医薬の創造にもつながっていく可能性がある」と期待を寄せる。(略)

以上、簡単ですが、2023年ノーベル生理学・医学賞受賞のニュースを2つ掲載させていていただきました。

今回の新型コロナウイルスワクチンのように感染症に対して早期にワクチンが大量に生産・供給されたことは歴史上ありません。カリコ博士はがんに対するワクチンとしてmRNA加工する研究が進んでいた為、早いワクチン開発ができたのです。ウイルスの遺伝子構造は容易に解析できます。本来のがんワクチンについては、がんの目印が一人ずつ異なる事や、がん免疫反応を強くできるようにするなど、研究中とのことです。当クリニックで行っている樹状細胞ワクチンでも大切なのはがんの目印となるタンパク(がんペプチド、ネオアンチゲン)などの同定と免疫機能の改善です。瀬田クループで集積・解析されたデータも参考になります。そして免疫反応細胞の総合・複合的な強化も重要です。オーダーメイドのがん治療が簡単にできる未来に期待します。

2023年10月15日   福岡メディカルクリニック   内藤恵子

最近の投稿