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No.22「がん教育」日常の企業活動の中で「がん」と真剣に向き合う時期に来た

No.22「がん教育」日常の企業活動の中で「がん」と真剣に向き合う時期に来た

中川 恵一氏 東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長

https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/keyperson/19/00039/

Beyond Health  2020.11.19

多数の著書などを通して、がんの情報を広く発信している東京大学医学部附属病院の中川恵一氏。最近では、著書『コロナとがん リスクが見えない日本』(海竜社、2020年10月)を通じて、コロナ禍におけるがんとの向き合い方に警鐘を鳴らしている。同時に中川氏が力を入れているのが「がん教育」だ。(中略)

学校での「がん教育」が日本でも本格的に始まることになった

がんは早期に見つかれば見つかるほど生存率が高まる。例えば、乳がんは自分で触れてしこりを確認することができる。定期的にセルフチェックをしている人の割合は驚くほど低い。早期発見すれば9割以上が助かる病気であるにもかかわらずだ。そこには日本のヘルスリテラシーが低いという背景がある。(中略) そうした中で、保健体育科の新学習指導要領に「がん教育」が明記され、中学校では2021年度から全面実施、高校では2022年度から順次実施されることになった。これは画期的なものだ。この指導要領の作成には私も深く関わったが、内容は世界でトップと言っていいだろう。

これまでしっかりと学んでいない大人たちをどうするか

富士通が2020年1月に開始した、全従業員7万人が対象の「がん教育」にも関わられたと聞いた。(中略) ベースとなったのは「がん対策推進企業アクション」という制度。厚生労働省の委託事業で、企業でのがん対策を進めるのが主旨だ。柱は3つ。職域におけるがん検診の推進、がんの治療と就労の両立、大人のがん教育、である。既に12年間続いているが、当初から私は議長を務めてきた。富士通で実施したeラーニングの教材は今後、がん対策推進企業アクションのページで自由に使用してもらう予定でいる。

企業経営として「がん」は避けられない大きな問題に

今まで企業の中でがんを取り上げることはとても少なかった。ただし今後、がんは避けられない大きな問題になってくる。人生100年時代を迎え、長く働くことが普通になってきたが、2017年のデータでは生涯に何らかのがんに罹る確率は男性が65.5%、女性が50.2%。ちなみにサラリーマンの死因の半分ががんとされている。つまり、人生100年時代を阻害する最大の要因が、がんということになる。 男女の傾向を見ると、全体としては男性が多いが、女性は乳がん、子宮頸がんという特有のがんがあり、若い頃からがんになりやすい。子宮頸がんのピークが30代で、乳がんのピークが40代と同年代の男性よりもがんの罹患率が多い。だが55歳で男性が追い抜いて以降は、急激に男性が増える傾向にある。 このデータからわかるのは、若い世代の女性社員にがんが増えるということ。もう一つ、この先65歳、70歳まで働くようになれば、全社員のがん罹患率が増えるということだ。(中略)

日本は検診受診率が先進諸国の中で低いという課題がある

日本はがんによる死亡が増え続けているが、欧米では減り続けている。米ウォールストリートジャーナルの記事によると、日米人口10万人当たりのがん死亡者数は、1995年にはほぼ同じだったにもかかわらず、米国は減り続けた。現在、人口10万人当たりのがん死亡数率は、日本は米国の1.6倍となっている。(中略) がん検診受診率を見てみると、米国の8割に対し日本は4割。実に半分の割合だ。しかも今年に入り、新型コロナでますますがん検診に行かなくなってしまった。(中略)(補足:日本のがん死亡者の増加は高齢化が進んでいることも大きな要因である)

コロナ禍でがんが増える可能性、でも検診受診率は減

日本は世界で最も「座る国」との調査結果もある。(中略)さらに在宅勤務でコロナ太りが増えているが、糖尿病によってがんのリスクが2割増えると言われている。肝臓がんと膵臓がんに限れば約2倍にもなる。実は新型コロナによってがんが増える可能性があるのに、一方で検診受診率が減っているという不条理な状況だ。もしかしたら今後数年で、進行がんが増えるかもしれない。(以下省略)

がん教育はとても必要と考えます。親も子もです。AYA世代(30~40歳)のがん罹患者が増えているからです。がん治療も進化し、抗がん剤治療もほとんどが外来で行われ、仕事も継続できます。しかし、がん治療で生活の質は大変変わります。早期発見・治療をすることで、これらの負担を少なくすることが可能です。企業も「健康経営」として、職員の健康管理の重要性が考えられるようになっています。 今、コロナウイルス感染症増加により、がん検診が減っているのは間違いありません。しかし、集団検診に行くべきとも言えません。今は、切り口を変えて、少し異なるがん検診、例えば、乳がんや膵臓がん、肝臓がん検診や血液によるがん検診を受けては如何でしょうか?これらのがんは症状が出にくく見つけにくいのですが、超音波検査が早期発見に有効です。是非、取り入れるべき検査と考えます。

2020年11月23日  福岡メディカルクリニック 内藤 恵子

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